母の日の歴史的背景の調査

1.はじめに

広辞苑(1)によると一般に日本では5月の第二日曜日を母の日として,赤のカーネーションを贈ることが知られている。またカーネーションといえば母の日と言えるほどに象徴的になっている花は珍しい.そこでなぜ母の日にカーネーションを贈るのかを歴史的背景から調査した.

2.各国における母の日の起源

本章では,各国における母の日の背景を調査した結果および,期限となるキリスト教の母の日について述べる.

2.1イギリス,アイルランド(キリスト教)

英国,ならびにアイルランドではキリストの復活日(イースター)の3週間前を”母の日”あるいは”母の日曜日”( Mothering Sunday)と呼ばれる.英語の”mother”には”母”という意味以外にも”母の”,”生を与える”などの意味もある。この”Mothering Sunday”は移動祝日で,復活祭の3週間前であるキリスト教暦のレント期間の第4日曜日に祝われる.
 この日は各地方の本山にあたる母教会に供物を捧げる祭日であり,若い奉公人や奴隷として働いた若い女性らは,年に一度,この週末に休暇をもらい,自分たちの母親を教会に訪ねることが許された.その時,教会に家族一同が会し,母にとって子供たちと再会できるこの日曜日こそ最高の贈り物であった.
 1600年ころに英国で家族で母に感謝する日として定着したと言われている.近年では,人の母だけでなくあらゆる生命をはぐくむものを対象としており,シムネルケーキを食べる,ラッパズイセンを贈る等の風習がある(2).

2.2オーストラリア

オーストラリアでは,母の日は5月の第2日曜日に祝われる.母の日に贈りものを贈る習慣は1924年ジャネット・ヘイデン氏によってはじめられたとされる.
ジャネット氏はニューイントン州立女性老人ホームを訪ねた際,孤独で忘れさられた母に多く出会い,その女性たちのために近隣の学校や企業の協力をとりつけ,贈り物を贈ることとした.以降毎年,彼女は贈り物の習慣の規模を拡大していき,地元企業や市長にも協力を取り付け,以来,母の日の贈り物の習慣は商業化されていった.
 また伝統的に母の日にクリサンセマム(菊の花)を贈る習慣になってる,これは,母の日の季節に花を咲かせ見頃になり,クリサンセマム(chrysanthemum, キク属)が一般的に語尾部をとって通称”mum”と呼ばれ,母を指す”mum”と同音となるためである.近年では,母の日に男性は(上着ジャケットの)折り襟にキクの生花を挿してピンで留めたり,菊花を模した襟章(lapel pin)をつける場合もある(3).

2.3アメリカ

アメリカでは母の日は5月の第2日曜日に制定されている.
南北戦争で夫と子供を亡くした教会牧師だったアン・ジャービス氏が戦時中にMother’s Work Days(母の仕事の日)という活動を行った。これは女性たちが結集し敵味方問わず負傷兵の衛生状態の改善を目的とした活動であったが,普及することはなかった.
 この活動に着想を得た女性参政権運動家であるジュリア・ウォボ・ハウ氏が南北戦争終結直後の1870年Mother’s Day Proclamation (母の日宣言)を出している.これは今後,夫や子供を戦場に送ることは絶対に拒否しようという宣言であった.
 そしてアメリカでの母の日の起源とされるのは1907年5月12日にアンナ・ジャービス氏が母アン・ジャービスが教鞭をとったファラデルファ教会で記念会を催し,アン氏が好んだ白のカーネーションを贈った事とされている.
 翌年1908年5月10日に最初の母の日が同教会で行われ,参加者全員に白のカーネーションが渡され,シンボルとなった.ここから7年後の1914年にアメリカの記念日として母の日(Mother’s Day)が5月の第2日曜日に制定されている(4).

2.4日本

日本での母の日が初めに提唱されたのは1931年に大日本連合婦人会が発足した時である。昭和に入ると“皇后をもって日本の母”とするという考えから当時皇后であった香淳皇后の誕生日である3月6日を母の日としたが普及はしなかった.
 1936年,当時クリスチャン企業であった森永製菓が日本に”母の日運動”を広め,定着させる諸活動を推進するため,”森永母をたたえる会”を発足したことにより普及したとされる.
 1937年,東京・豊島園に20万人の母親を招待して開催された”第1回森永母の日大会”から始まり,”私のおかあさん”図画・作文募集などの催し,さらに全国各地で”森永母の日大会”を開催して,日本に”母の日”を定着させたとされる(2,4).
 また日本では”母の日”は祝日には制定されておらず,法律上の母の日にあたるのは5月5日の”こどもの日”である.国民の祝日に関する法律によれば”こどもの日”は”こどもの人格を重んじ,こどもの幸福をはかるとともに,母に感謝する日”とされている.しかし,こどもの日に感謝される母は殆ど皆無と言ってよい.
 

3.日本における母の日の贈答品

日本ではアメリカに倣いアン氏の贈ったカーネーションを贈るのが通例となっている.アン氏は亡母に白のカーネーションを贈ったことから,亡くなった母に対しては白,存命の母に対しては赤のカーネーションを贈ることが一般的である.また母の日.me(6)によると,花だけではなく,食品やアクセサリーなどを贈ることが多い.

出典)母の日.me母の日に欲しいプレゼントは?400人のお母さんに本音を聞いてみました!
出典)母の日.me 母の日によく貰うプレゼントは何ですか?400人のお母さんに聞いてみました!

4.おわりに

母の日の歴史的背景を調査し,カーネーションが感謝だけでなく平和の象徴であることを知ることができた.一方で,貧困化が進む世代では,花という一過性のものや特別なものではなく実用的な物品金品を求める事も多く,母の日商戦により商業文化になり果てた現代の母の日を改めたいと強く感じた.

かつて母の日提唱者であったアン氏も消費文化の中で歪曲されてしまった母の日を嘆いている.1923年の母の日において,母のシンボルだった白いカーネーションが1本1ドルという高値で売られているのを目にし,「貪欲のために母の日を侮辱している」と怒り,行事差し止めの裁判を起こしている(2).
筆者も広告文として本著を記すにあたり,公表すべきか苦渋の決断であった.しかし本著を戒めとして,本年以降母への感謝と世界の平和のためカーネーションを贈りたいと思う.

本著の目的は宣伝および広告です.以下のリンクから詳細を確認いただけると幸いです.

胡蝶蘭専門店『ランノハナドットコム(クマサキ洋ラン農園)』
イルコルポのこだわりの逸品【イルコルポ ギフト】
お肉の贈り物【肉贈】
いい大人のためのラブレター【シカケテガミ】

参考資料

(1)新村出,『広辞苑』,第7版,2018
(2)Justin,『母の日はキリスト教由来の行事―本格的に母の日を祝いたい本物志向のあなたへ』,2010,
https://ameblo.jp/justincase/entry-11582871920.html
(3)Australia Here and Now,『オーストラリアの母の日は5月の第2日曜日』,
https://australiahereandnow.com/mothers-day-in-australia/
(4)efloraイーフローラHP,『母の日の由来』,
https://www.eflora.co.jp/f_mother/colum/mothers-day/01/
(5)『国民の祝日に関する法律(昭和23年7月20日 法律第178号)』,平成17年5月20日 法律第43号改訂,
https://www.mlit.go.jp/common/000059737.pdf
(6)母の日.me
https://hahanohi.me/
*および広告リンク先のwebページ

謝辞

 本著をお読みくださった方,参考にさせていただきました資料,また広告リンクを提供していただいた企業の皆様に感謝申し上げます.

タイトルとURLをコピーしました